労働問題Q&A42
未払い賃金・残業代の社長
(代表取締役・役員)の個人責任追及
(残業代/賃金/退職金請求)
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会社が未払い賃金を支払わない
会社に資産がない場合、社長個人に請求できるか
役員(取締役)に責任追及できるか
Q42 未払い賃金の社長(役員・取締役)に
対する個人責任追求 (退職金/賃金/残業代)
私の勤務している会社は株式会社です。
給料の未払いで訴訟を提起して給料を支払えと言う判決が
出ました。
しかし、会社は実質営業をしてなくて、会社の資産財産は
皆無です。
また、法律上は存続していて破綻(倒産)していません。
しかし、社長は個人資産を有しています。
この場合、社長から給料相当の金額を支払わせることはで
きないのでしょうか?
A42
未払い賃金・残業代の社長に対する請求
会社が支払わない、資産がない場合の役員の責任
個人事業者でない場合、例えば、株式会社の場合には法律上
は、会社と社長(代表取締役)は別人格なので請求すること
は原則できません。
(代表取締役に支払い責任義務はありません)
個人事業者の場合
個人事業の場合は社長(経営者)と労働契約を締結していると
いうことになりますので、社長に未払い賃金の請求をすること
になり、社長も支払い義務があります。 役員の責任を認めた判例
会社に支払い義務がある未払い賃金を社長(代表取締役)に
請求することは困難ですが、しかし、割増賃金(残業代)に
ついてですが、判例で会社に支払い義務がある未払い割増賃
金について役員(取締役)に個人的賠償責任を認めた判例が
あります。
(平成21年1月15日大阪地裁判決)
取締役及び監査役については商法上善管注意義務ないし忠実義務
があり、労働基準法37条を遵守させ、労働者に割増賃金を支払
わせる義務を負っている、として役員個人に損害賠償責任がある
と認められた判決です。
下級審の判例であり、会社が割増賃金を支払えとする判決が出た
後も支払わなかったと言う事情もあり、この判決の趣旨が必ずし
も未払いに関する全てのケースに該当するとはいえません
(社長や役員の責任を認めない判決が多く存在するということも
考察ください)
従来、未払い賃金について役員や社長に対する個人責任は認めら
れにくかった状況を考えると革新的な判決と言えると考えられます。
会社が倒産している場合には、未払い賃金を立て替えてくれる制度
もあります。
詳しくはQ&A33
をご覧下さい。
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