口頭の合意で労働契約は成立します。
{労働契約に限らず契約について、書面によらなくても効力が発生します。
法令で書面作成により効力を発するとしているものを除く。
一定の方式が必要とされる契約を「要式契約」といいます。例:民法446
条 保証契約)}
そして当初の労働契約で取り決めた内容(労働条件)を当事者(使用者と
労働者)の一方が(相手の同意を得ず)一方的に変更することはできませ
ん。
労働基準法第2条により労働条件について使用者側の一方的な変更は
できません。
未払い賃金や未払い残業代を請求する上で、雇用されて働いていたこと
を証明する書面として
「労働契約書」は重要な証拠となります。
しかし、大企業はともかく、現実には、書面で労働契約を交わしていない
という事例は多いのが現状です。
雇用主と労働者は法律上は対等ですが、現実には、労働者は雇用される
立場なので弱い立場です。
労働者のほうから「労働契約を書面にしてください。」ということもなかなか
言えないところがあります。
せっかく採用されたのに(雇用主が「ややこしいことをいうやつだな。
今後も何か要求されると困るから不採用にしよう」と考えて)取り消されるこ
とになると困ってしまいます。
労働契約の書面がない場合には「未払い賃金や未払い残業代、未払い退
職金」は請求できないのでしょうか?
いえいえ、そんなことはありません。
万が一、雇用主が「あなたなんか雇ったことはない」と労働契約の存在その
ものを
争ってきた場合にも、他の証拠で(労働の成果や証人等)証明する
ことは十分可能です。
(詳しくは「残業代を請求するには、証拠の収集」をご覧ください。
未払い賃金や未払い残業代、退職金は当然支払われなければいけないも
のです。
支払われていない場合はしっかり請求しましょう。